スマートフォン

【クロック周波数】CPUの処理速度について簡単にまとめてみた!【IPC】

昨日はスマホ向けCPUのARMにお伝えしてきましたが今日はCPUの処理速度を決める要素についてお伝えしていきます。

これまではARM系のCPUが中心でしたが、今日はARM系のCPUに限らずintelやAMDのCPUにも当てはまる内容になるのでスマートフォンだけでなくパソコンを買うさいにも参考になれば幸いです。

スマホのCPUの比較と見方のまとめ
スマホのCPUの比較と見方のまとめスマホの基本性能をきめるCPUについて過去の記事で個別でまとめてきましたが、総集編的に網羅していきます。...

CPUの処理速度の決める構成要素とは?

CPUの処理速度をカタログなどで見たさいに2.5GHzや3.2GHzなどの表記を見たことある人は多いと思います。

これはクロック周波数といって速度を決める大きな要素の一つになりますが実はCPUの処理速度を決める要素はこれだけではなく[クロック周波数:マルチコア:IPC]など主にこの3つの要素が処理速度に大きく影響してきます。

それではまずはこの3つの要素[クロック周波数:IPC:マルチコア]について簡単に解説していきます。

クロック周波数とは?

CPUの処理速度の決める構成要素とは?クロック周波数とは?

まずはクロック周波数から!
CPUの処理速度の指標として真っ先に出てくるのがクロック周波数。

クロック周波数は結論からいうと表記されている数字が高ければ高いほど高速な処理が可能になります。

なんでそうなるのかといえばクロック周波数は1秒間に何回処理信号のテンポである[クロック]を発生できるのか、ということなので数値が高ければその分早くなります。
ちなみに1秒間にクロックが1億回あれば数値は1GHzとなります。

といっても処理信号やらテンポやら僕も難しいので人の仕事に例えて表現すると、データの処理を人がA地点からB地点までバケツの水を運んで戻ってくるまでを1クロックとします。

そうする1秒間に1億回バケツの水を運んで戻って来れる人は1Ghz、2億回の往復ができる人は2Ghzとなり速度が倍と考えられます。

また、条件が同じ場合はクロック周波数が上がれば処理速度も上がりますが同時に処理速度以上に消費電力も上がるので用途によりバランスが求められます。

実際にデスクトップパソコンでは3Ghzのクロック周波数のCPUはざらにあるのにスマートフォンなどの小型デバイスでは3Ghz以上のクロック周波数のCPUはありません。

IPCとは?

CPUの処理速度の決める構成要素とは?IPCとは?

IPCとは「Instruction per Clock」の略でクロック辺りの処理の命令数のことになります。

これも単純に上記の人の例に例えるとA地点からB地点までバケツの水運ぶ時、バケツの水を一つしか運べない場合を1命令数、2個運べる場合を2命令数と脳内で置き換えると分かりやすいと思います。

ってことは命令数増やせば処理速度めちゃあがるじゃん?と考えるのも正解ではあるのですが、クロック周波数をあげると消費電力があがるというデメリットがあるようにIPCをあげると消費電力や電力効率が悪くなる以上にCPUコアのサイズが大きくなってしまいコストも上昇するデメリット存在します。

これはどういう事かというとIPCを上げるためには命令の読み出しユニットや実行ユニット、結果の書き出しなど多くのユニットを強化する必要がありトランジスタが莫大に増えるので結果大きくコストのかかるCPUコアとなってしまいます。

コストの増える要因としてはトランジスタが増えダイサイズが大きくなればなるほど歩留まりが悪くなり、大きくなった分一つのシリコンウェーハから取れるCPUの数が減るためです。

そのためクロック周波数と同様バランスが求められる要素となります。

マルチコアとは?

CPUの処理速度の決める構成要素とは?マルチコアとは?

マルチコアは一つのSoCに複数のCPUコアを載せることを指します。

こちらも上記の人の例に例えるとA地点からB地点までバケツの水運ぶ時バ一人一人の作業量が同じでも複数人でこなせば何倍の速度にもなります。

現在ではほとんどのSoCがマルチコアを採用していますが、なぜマルチコアがこんなにも主流になったかというとクロック周波数やIPCの向上だけでは処理速度の向上に限界が見えてきためです。

また、マルチコアにもホモジニアス・マルチコアとヘテロジニアス・マルチコアが有りホモジニアスは同一のCPUコアによるマルチコア、ヘテロジニアスは特性の違うCPUコアによるマルチコアとなっています。

特に消費電力の制約が厳しいスマートフォンの分野ではヘテロジニアス・マルチコアが採用され、重い処理を実行するクロック周波数やIPCの高いCPUコアと軽い処理を実行する電力効率に優れた小さいCPUコアによる構成が多いです。

これだけだとクロック周波数やIPC下げて多くのCPUコア乗せればマルチコア最強じゃんと思う人も多いと思うのですが、アプリなどソフトウェア側がマルチコアに対応してないとその力は生かせずどれだけたくさんのCPUコアを積んでも処理速度が遅いケースも有るためここでもバランスが求められます。

また、現在でマルチコアが最も活かせる用途は動画の編集になります、その他には複数アプリケーションの同時利用やマルチコアに対応したゲームなどもマルチコアが活きる用途となります。

CPUの処理速度や消費電力に関係するその他の要素とは?

ここまで処理速度に大きく影響する要素について解説してきましたがその他にも[SMT:CISCとRISC:製造プロセス]など影響を与える要素があるのでさらっと解説していきます。

SMTとは?

SMTは「Simultaneous Multithreading」の略で同時マルティスレッティングとなります。

同時マルチスレッディングとは一つのCPUコアに対して複数のスレッドを同時実行する機能のことで、聞いたことも多いと思いますがintelではHT「Hyper Threading」と呼んでいます。

この同時マルチスレッディング活きる時はCPUの処理でも整数演算ばかり行うアプリと浮動小数点演算ばかり行うアプリなどの場合、効率的に動作しCPUの処理能力の余っている部分の性能を最大限引き出せる機能となります。

逆に整数演算ばかりの処理を必要とするアプリを2つ動作してもSMTは効率的には働くことができないので用途や状況に大きく左右される部分があります。

当然、2スレッドの処理が1つのCPUコアでできると言っても2コアのCPUよりは速くはならないので過信はしてはいけません。

CISCとRISCとは?

ちょっと難しいですがCISCとRISCは命令セットアーキテクチャの設計コンセプトの違いを指す単語になります。

具体的にはCISCは「Complex Instruction Set Computer」の略で複雑な処理を1命令で行えるが処理が遅いCPUで、RISCは「Reduce Instruction Set Computer」略で1命令でできることに限りはあるけど処理が速いCPUとなります。

一般的にはintelやAMDなどのCPUが[CISC]、ARM系のCPUが[RISC]と言われてますが各々双方の長所を取り入れており現在ではかなり曖昧になっているので傾向だけ掴んでおきましょう。

製造プロセスルール

製造プロセスルール

この製造プロセスルールは実はCPUやGPU、SoCに非常に大きな影響を与えます。

製造プロセスルールはイメージとして配線の太さと捉えて貰うとわかりやすかも知れません。

そしてこの配線の太さをXXnmなどと表現しています。
具体的に言うと最新世代ではTSMCが7nmプロセスルールで作っておりこれがどのくらい凄いかというと2006年発売のPS3のCELLでは90nmプロセスルールで作られていて1/10以下まで現在では小さくできる技術になっているのです。

当然CPUやSoCをただ小さくするだけでなくダイサイズが同じ場合より多くのトランジストを詰め込めるため性能向上にとっても重要な要素となっております。

また、配線が小さくなることでトランジスタも小さくなり消費電力も下がるためCPUやSoCの進化にはプロセスルールは欠かす事ができません。

なぜ、トランジスタが小さくなると消費電力も下がるかというとトランジスタに電気が通っている状態と通っていない状態の繰り返しをスイッチングと呼びトランジスタが小さければ小さいほどスイッチングの時間が短縮されます、結果スイッチングにかかる時間が減り電力が下がるというわけです。

しかし最近では製造プロセスルールの微細化かが以前より難しく莫大な投資が必要となってくるため廉価モデルのCPUやSoCでは古いプロセスルールが使われることも多くなっています。

CPUについてまとめ

ここまでCPUの処理速度を決める要素を簡単にまとめて来ましたが、実際選ぶ際に全てを調べるのは手間がかかりますのでパソコンではCINEBENCH、スマートフォンでGeekbenchなどのベンチマークテストを調べると選ぶさいに分かりやすいと思います。

現時点では僕が使った感覚でいうと重いゲーム(ゲームはGPU性能が大きく影響します)をしない限りスマートフォンではGeekbenchでシングルスコアで1300、マルチスコアで3500以上のモデルを選べばほぼストレスなく利用できますので参考になれば幸いです。

スマホのCPUの比較と見方のまとめ
スマホのCPUの比較と見方のまとめスマホの基本性能をきめるCPUについて過去の記事で個別でまとめてきましたが、総集編的に網羅していきます。...