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スマホ向けCPUの[ARMってなに?]って人向けに簡単にまとめてみた!

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以前の記事[スマホ向けCPUとSoCの違いについて簡単にまとめてみた!]でお伝えしましたがスマホ向けのCPUはほぼ全てARMのCPUコアを使っているのです。

スマホ向けCPUとSoCの違いについて簡単にまとめてみた!今回はスマートフォンに搭載されるCPUそしてSoCとの意味の違いやSoCの構成要素などを簡単にお伝えしたいと考えてます!...

今日はそもそも[ARMってなに?]って人もいると思うのでARMとARMのCPUについて簡単に説明していきます。

ARMとは?

ARMとは?

それではそもそもARMとはどんな会社なのか解説していきます。
ARMは1990年に設立されたイギリスの会社でARMアーキテクチャという組込機や携帯電話などに特化し低消費電力のCPUアーキテクチャの設計とライセンス販売を主たる事業をしている会社となります。
(2016年にSoftBankにより3.3兆円で買収されたので距離は置いてますがSoftBankのグループ企業となります)

また、上記のARMアーキテクチャはほぼ全てのAndroidスマートフォンやiPhone、その他幅広く採用されており例えばSONYのPS VITAや任天堂のニンテンドー3DSにも採用されています。

それではスマートフォンの拡大と共に成長した企業かというと半分正解で実は日本のガラケーやフィーチャーフォン、symbianOSが主力の時代から採用されているので組み込みや携帯電話などの小型デバイス分野では古くから圧倒的なシェアを持っていました。

近年はMaliというGPUのアーキテクチャの設計とライセンスの販売も行っておりCPUアーキテクチャのライセンス販売程ではないですがARMのCPUコアを使ったSoCの一部で採用されています。

これだけ多くのデバイスへ搭載された要因の一つにFabやCPUやSoCとして販売を行うintelと違いARMはあくまでアーキテクチャのライセンス契約により売上を上げてる点です。
当然SoCやCPUの製造は行わないためスマートフォンや携帯電話で世界中の人が使っているデバイスに搭載されているにも関わらず知名度が低いシェアや出荷台数と比較すると低くなっています。

売上高もライセンス販売のため世界中で使われてるにしては低めの1,800億円ほどとなっている。

ARMアーキテクチャの特徴

それではほぼ独占的にシェアを持つARMアーキテクチャの3つの特徴を紹介していきます。

①ライセンス販売

上記でも述べましたがここまで高いシェアを長期に渡り維持し続けれ要因の一つにライセンス販売が挙げられます。

これはintelのようにCPUを設計、開発、販売するのとは異なりアーキテクチャのみライセンス販売することで各メーカーが自社のSoCや製品に合わせて各々の実装を可能としています。

また、下記にも記載しますが汎用性の高さも挙げられCPUコアとして完成されているライセンスから[拡張命令のカスタマイズが行えるライセンス契約]まで選択できる柔軟性も高いシェアを維持できる要因となります。

②小型デバイスに最適

ARMアーキテクチャはPCなどとは違い古くから携帯電話などの小型デバイスに特化したアーキテクチャとなっており低消費電力で小さいコアが特徴として挙げられます。

そのため携帯電話には最適である程度処理速度が求められるスマートフォンなどには製造プロセスの進化と共に低消費電力を維持しつつ処理速度を何倍にもあげてこれて点が大きな特徴となります。

③サードパーティー製カスタムコア

上記で述べたようにARMアーキテクチャ(命令セット)を使いながら差別化や自社の製品やSoCに合わせてCPUコアをカスタムできるライセンス形態があるのも大きな特徴となります。

具体的にはAppleやQualcomm、Samsungなどは自社で作るSoCに使うCPUはARMとはいえ自社でカスタムしており特にAppleはARM純正のアーキテクチャCPUとは異なりIPCが異常に高い設計となっています。

ARMのCPUコアってなにがあるの?

ARMのCPUコアってなにがあるの?

それでは実際にARMはスマホ向けSoCではどんなCPUコアをライセンスしている解説する前にARMがどんなCPUコアのシリーズがあるのかをさらっと書いておきます。

ARMのCPUコアには現在Cortexがあるのですがその中でのスマートフォン向けを含めた3つのシリーズがあります。

3つのシリーズとは[Cortex-A Cortex-R Cortex-M]となっており各々使われる製品が異なります。

Cortex-Aシリーズ

Cortex-AはApplicationのAでスマートフォン向けのラインナップになります。

また、最新のCPUコアではCortex-Aの中でもよりハイパフォーマンスを行えるCortex-A76と小型で低消費電力を重視したCortex-A55と別れています。

実際にSoCに使われす際は両方のCPUコアがヘテロジニアスマルチコア構成で「big.LITTLE」として効率的に利用されます。

これはどういうことかというとより速い処理が必要な場合はCortex-A75がメインで動作しスリープ中や軽い処理などの場合はより低消費電力で電力効率の良いCortex-A55が使われると言うようにフレキシブルに最適化し動作します。

またこれらのコアは最新のDynamIQ技術により更にフレキシブルに動作するようになりハイパフォーマンスかつ低消費電力で動作するようになっています。

Cortex-Rシリーズ

Cortex-RはReal-timeのRで性能でみるとCortex-Aより低くなっていますが大きな違いとしてリアルタイム性を確保に重点をおいたシリーズとなります。

Cortex-Mシリーズ

Cortex-MはMicrocontrollerのMで性能的には3シリーズで一番低くなっていますが組み込み向けの製品での採用実績が高く低消費電力とコア小型化が特徴となっています。

また、シリーズを通してバイナリの上位互換が確保されている点も重要なポイントです。

ARMのアーキテクチャライセンスとは?

ARMのアーキテクチャライセンスとは?

上記のライセンス販売やサードパーティー製カスタムコアでも少し触れていますが、厳密にいうとカスタム前提のARMアーキテクチャライセンスとCortex-Aシリーズを使うプロセッサーライセンスは全く違うものです。

CPUとして完成されたCortex-Aシリーズと違いアーキテクチャライセンスではARMの命令セットと互換性のあるCPUを作る権利を得ただけでそれだけではCPUとしては使い物にならないのです。

そのため、Appleを筆頭にQualcommやSamsungはアーキテクチャライセンスの契約を行い自社で独自のARM互換のCPUを作っているのです。
※Qualcommの場合はセミカスタムコアのKryo 280やKryo 385がある

また、QualcommやSamsungはプロセッサーライセンスの契約もしておりSoCには自社でカスタムしたARM互換CPUとARMのCortex-Aシリーズを使っています。

使われ方としてはハイパフォーマンスを行うCPUコアを自社で作り低消費電力コアをARMのCortex-Aシリーズにしやミドルレンジ以下のSoCにARMのCortex-Aシリーズを使い「big.LITTLE」として使われることが多いです。

その他ミドルレンジ以下の向けたSoCでもCortex-Aシリーズの低消費電力コアであるA53などで8コアを搭載する実装の仕方をしたSoCもあります。

ARMのスマホ向けCPUとは?

ARMのスマホ向けCPUとは?

それでは実際にスマホ向け主要SoCで使われているARMのCPUコアやメーカーにカスタムされた最新のCPUコアを紹介していきます。

メーカー アーキテクチャ コア名 SoC 搭載端末
ARM v8.2-A Cortex-A76

Cortex-A55

Kirin980 Mate 20 Proなど
Apple v8-A Vortex
Tempest
Apple A12 Bionic iPhone XSなど
Qualcomm v8-A Kryo 485
[セミカスタム]
Snapdragon 845 Pixel 3など
Samsung v8-A Exynos M4 Exynos 9810 Galaxy S9など

以上となっています。
ARMアーキテクチャのv8-AをカスタムしているメーカーではAppleが歴史が古くCPU単体の性能が圧倒的に高いです。
ちょっと他のSoCでは太刀打ちが難しいレベルす。

しかし2019年にSamsungが出すExynos9820に使われMongoose4のCPUコアはAppleのシングル性能に若干追いつきつつ有りQualcommもSnapdragon855で高性能なコアを搭載するなど性能がシングル性能をあげていく流れになっています。

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ARMのCPUのまとめ

ここまでARMのCPUについて解説してきましたが基本的に現在スマホ向けSoCではApple、Qualcomm、Samsungはハイパフォーマンスコアを独自のARM互換のCPUで作っておりそれ以外のMediaTekやHiSiliconはCortex-AシリーズでSoCを作っているのでベンチマークなどをみる時にどんなどのCPUコア使ってるのかなーと意識してみるとちょっと面白いと思います。

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