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以前に書いた[スマホ向けCPUとSoCの違いについて簡単にまとめてみた!]の記事でCPUとSoCの違いは説明して来ましたが今日はスマホ向けSoCの種類やスペックについて簡単にまとめていきます。
数年前までは国内でスマホを買う場合は実質的にAndroidスマートフォン=QualcommのSnapdragonシリーズであり、iPhoneの場合AppleのAシリーズでした。
しかし近年は3大キャリア以外からも海外メーカーなどから格安スマホなどと言われるSIMフリー機も発売されてきているため、Snapdragon以外のSoCが搭載されたスマホを購入する機会も増えてきたと思います。
今日はそんなスマホ向けSoCをメーカーやシリーズ毎に整理してお伝えしていきます。

Contents
スマホ向けSoCはどのぐらいのメーカーが出してるの?
こちらの[スマホ向けCPUとSoCの違いについて簡単にまとめてみた!]でもお伝えしましたが以下のメーカーやシリーズが主要なスマホ向けSoCとなります。
会社名 | SoCブランド名[シリーズ名] |
---|---|
Qualcomm[クアルコム] | Snapdragon[スナップドラゴン] |
MediaTek[メディアテック] | Helio[ヘリオ] |
HiSilicon[ハイシリコン] | Kirin[キリン] |
Samsung[サムスン] | Exynos[エクシノス] |
Apple[アップル] | Aシリーズ |
スマホ向けSoC:QualcommのSnapdragonシリーズ
QualcommのSnapdragonシリーズはハイエンドの[800シリーズ]ハイエンドの下位の[700シリーズ]ミドルレンジの[600シリーズ]ローエンドの[400シリーズ]それに発展途上国などで利用されるコスト重視の[200シリーズ]がラインナップになります。
日本ではスペックの問題から[200シリーズ]のスマホが売られることも殆どなく[400シリーズ]も使われることが減ってきています。
ハイエンドの[800シリーズ]はSnapdragon810の製造プロセスの問題で爆熱SoCを出した時以外はハイエンド向けでは常に業界トップクラスの性能を維持しています。
若干ややこしいのが[700シリーズ]と[600シリーズ]で特に[600シリーズ]は650番代より上と下で性能が大きく異なりSnapdragon660やSnapdragon670は[700シリーズ]と近い性能を持ち差別化できていないように感じます。
逆に[600シリーズ]のSnapdragon625や630などはミドルレンジに相応しい性能でコスパ重視のスマホに世界中で搭載されました。
とはいえSnapdragon625は少し古くなって来きており、Snapdragon450で性能を上げてきた[400シリーズ]に性能では急激に近づいています。
Snapdragonシリーズ一覧
Snapdragonシリーズの主要SoCなどをまとめてみました。
極端に採用実績がないSoCや古いものは省いています。
※Antutuスコアは同じSoCを搭載した端末でも最適化や冷却性能などにより違いが出るため目安となります。
SoC | CPU | クロック周波数 | GPU | メモリ | 製造プロセス | Antutu | 主なデバイス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Snapdragon 855 |
Kryo 485 P×1 Kryo 485 P×3 + Kryo 485 Silver×4 |
2.84GHz +2.42GHz +1.8GHz |
Adreno 640 | LPDDR4x 2,133MHz |
7nm | 370,000 | Xiaomi Mi 9 |
Snapdragon 845 |
Kryo 385 Gold×4 + Kryo 385 Silver×4 |
2.8 GHz + 1.8 GHz |
Adreno 630 | LPDDR4x 1866MHz |
10 nm LPP |
280,000 | Xperia XZ3 |
Snapdragon 835 |
Kryo 280×4 + Kryo 280×4 |
2.45 GHz + 1.9 GHz |
Adreno 540 | LPDDR4x 1866MHz |
10 nm LPE |
200,000 | Xperia XZ1 |
Snapdragon 821 [MSM8996 Pro] |
Kryo×2+Kryo×2 | 2.35 GHz + 1.6 GHz |
Adreno 530 | LPDDR4x 1866MHz |
14 nm LPP |
170,000 | Pixel |
Snapdragon 820 |
Kryo×2+Kryo×2 | 2.15 GHz + 1.6 GHz |
Adreno 530 | LPDDR4x 1866MHz |
14 nm LPP |
150,000 | Xperia XZ |
Snapdragon 730G |
Kryo 470(A76)×2+Kryo 460(A55)×6 | 2.2 GHz + 1.7 GHz |
Adreno 618 | LPDDR4x 1866MHz |
8nm | 228,000 | |
Snapdragon 730 |
Kryo 470(A76)×2+Kryo 460(A55)×6 | 2.2 GHz + 1.7 GHz |
Adreno 618 | LPDDR4x 1866MHz |
8nm | 211,000 | |
Snapdragon 710 |
Kryo 360 Gold×2+ Kryo 360 Silver×6 | 2.2 GHz + 1.7 GHz |
Adreno 616 | LPDDR4x 1866MHz |
10 nm LPP |
169,000 | Xiaomi Mi 8 SE |
Snapdragon 675 |
Kryo 460(A76)×2+Kryo 460(A55)×6 | 2.0 GHz + 1.7 GHz |
Adreno 612 | LPDDR4x 1866MHz |
11nm LPP |
175,000 |
Xiaomi
Redmi Note 7 Pro |
Snapdragon 670 |
Kryo 360 Gold×2+ Kryo 360 Silver×6 | 2.2 GHz + 1.7 GHz |
Adreno 615 | LPDDR4x 1866MHz |
10nm LPP | 150,000 | Pixel 3a |
Snapdragon 660 |
Kryo 260×4+Kryo 260×4 | 2.2 GHz + 1.8 GHz |
Adreno 512 | LPDDR4x 1866MHz |
14nm LPP | 145,000 | Mi A2 |
Snapdragon 636 |
Kryo 260×8 | 1.8 GHz | Adreno 509 | LPDDR4x 1333MHz |
14nm LPP | 120,000 |
Xiaomi Redmi Note 5
|
Snapdragon 625 |
Cortex-A53×8 | 2GHz | Adreno 506 | LPDDR3 1866 Mhz |
14nm LPP | 80,000 | Redmi 5 Plus |
Snapdragon 450 |
Cortex-A53×8 | 1.8GHz | Adreno 506 | LPDDR3 1866 Mhz |
14nm LPP | 70,000 | arrows Be |
スマホ向けSoC:MediaTekのHelioシリーズ
MediaTekのHelioは少々ややこしいことになっています。
Helioのシリーズとしてはハイエンドの[Helio Xシリーズ]ミドルレンジの[Helio Pシリーズ]ローエンドの[Helio Aシリーズ]と区分けされているのですが[Helio Xシリーズ]シリーズは現段階では開発が停止されており[Helio Aシリーズ]は[Helio Pシリーズ]の下位モデルとスペックが近くなっています。
また、MediaTekのSoCはミドルレンジ~ローエンドのスマホに採用実績が多いためか[Helio Pシリーズ]に力を入れており実質的に[Helio Pシリーズ]のみでミドルレンジの上位からローエンドまでラインアップしている状況です。
最近では日本でも人気の高いUMIDIGIに採用され認知度が上がってきています。
Helioシリーズ一覧
HelioシリーズもSnapdragon同様採用実績がないSoCや極端に古いSoCは省いて一覧にしました。
※Antutuスコアは同じSoCを搭載した端末でも最適化や冷却性能などにより違いが出るため目安となります。
SoC | CPU | クロック周波数 | GPU | メモリ | 製造プロセス | Antutu | 主なデバイス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Helio X30 |
Cortex-A73 x2+ Cortex-A53 x4+ Cortex-A35 x4 |
2.8GHz+ 2.2GHz+ 2.0GHz |
PowerVR 7XT | LPDDR4x 1866MHz |
10 nm | 140,000 |
Meizu PRO 7 Plus
|
Helio P70 |
Cortex-A73 x4+ Cortex-A53 x4 |
2.1GHz+2.0GHz | Mali-G72 MP3 | LPDDR4x 1600MHz |
12nm | 145,000 | UMIDIGI S3Pro |
Helio P60 |
Cortex-A73 x4+ Cortex-A53 x4 |
2.0GHz | Mali-G72 MP3 | LPDDR4x 1600MHz |
12nm | 140,000 | UMIDIGI F1 |
Helio P23 |
Cortex-A53 x8 | 2.3GHz | Mali-G71 MP2 | LPDDR4x 1600MHz |
16nm | 75,000 | Ulefone Power 3 |
Helio A22 |
Cortex-A53 x4 | 2.0GHz | PowerVR GE | LPDDR4x 1600MHz |
12nm | 60,000 | Xiaomi Redmi 6A |
スマホ向けSoC:HiSilicon:Kirin
HiSiliconのKirinシリーズは近年Huaweiのスマホの進化と主に急激に成長を遂げたHuaweiのグループ会社です。
Kirinは主にハイエンドの[900シリーズ]ミドルレンジの[700シリーズ]ローエンドの[600シリーズ]に分けられており特にハイエンドの[900シリーズ]はSnapdragon[800シリーズ]と戦えるレベルまで性能があがっておりKirin 980ではSnapdragonと同等レベルの基本性能にNPU(Neuron Processing Unit)を搭載し独自性を出してきています。
[700シリーズ]や[600シリーズ]はSnapdragonの競合SoCよりやや劣る。
Krinシリーズ一覧
Kirinは日本での販売実績がある端末に採用されたモデルとこれから採用される見込みのあるKirin710を入れて一覧にしました。
※Antutuスコアは同じSoCを搭載した端末でも最適化や冷却性能などにより違いが出るため目安となります。
SoC | CPU | クロック周波数 | GPU | メモリ | 製造プロセス | Antutu | 主なデバイス |
Kirin 980 | Cortex-A76 x2+ Cortex-A76 x2+ Cortex-A53 x4 |
2.6GHz+ 1.9GHz+ 1.8GHz |
Mali-G76 MP10 | LPDDR4x 2100MHz |
7nm | 300,000 | HUAWEI Mate20 Pro |
Kirin 970 | Cortex-A73 x4+ Cortex-A53 x4 |
2.4GHz+ 1.8GHz |
Mali-G72 MP12 | LPDDR4x 1833MHz |
10nm | 200,000 | Huawei P20 Pro |
Kirin 960 |
Cortex-A73 x4+ Cortex-A53 x4 |
2.4GHz+ 1.8GHz |
Mali-G71 MP8 | LPDDR4x 1833MHz |
16nm | 170,000 | Honor 9 |
Kirin 710 |
Cortex-A73 x4+ Cortex-A53 x4 |
2.2GHz+ 1.7GHz |
Mali-G51 MP4 | LPDDR4x 1833MHz |
16nm | 135,000 | Huawei P20 lite |
Kirin 659 |
Cortex-A53 4+4コア | 2.36GHz+ 1.7GHz |
Mali-T830 MP2 | LPDDR4x | 16nm | 80,000 | Huawei P20 lite |
スマホ向けSoC:SamsungのExynosシリーズ
SamsungのExynosシリーズ主にハイエンド向けSoCで世代ごとに5→6→7→8のようにあがっていきます。
ExynosはSamsungのフラグシップ機であるGalaxy Sシリーズで主に採用され地域によっては、同世代ののSnapdragon[800シリーズ]と使い分けられています。
Exynosはスマートフォン黎明期からQualcommのハイエンドシリーズと争ってきています。
採用端末もSamsungだけでなく中国のMeizuなども採用しています。
Exynosシリーズ一覧
SamsungのExynosシリーズはハイエンド機のみ一覧にしましたがどのSoCも日本では発売されていません。
※Antutuスコアは同じSoCを搭載した端末でも最適化や冷却性能などにより違いが出るため目安となります。
SoC | CPU | クロック周波数 | GPU | メモリ | 製造プロセス | Antutu | 主なデバイス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Exynos 9820 | M4×4+ Cortex-A75x2+ Cortex-A55 x4 |
2.73GHz+
2.31GHz+ 1.95GHz |
ARM Mali-G76 MP12 |
LPDDR4X | 8nm | 325,000 | Galaxy S10 |
Exynos 9810 | M3×4+ Cortex-A55 x4 |
2.9GHz+ 1.9GHz |
ARM Mali-G72 MP18 |
LPDDR4x 1866MHz |
10nm | 260,000 | Galaxy S9 |
Exynos 8895 | M2×4+ Cortex-A53 x4 |
2.5GHz+ 1.7GHz |
ARM Mali-G71 MP20 |
LPDDR4x 1866MHz |
10nm | 200,000 | Galaxy S8 |
スマホ向けSoC:AppleのAシリーズ
AppleのAシリーズは以前にもお伝えしたとおりiPhone専用のSoCです。
iPhoneがハイエンド機であるためハイエンドSoCのみ作られておりその性能は常にトップを維持しています。
搭載されたのはiPhone4からでApple A4が開発、搭載されました、この頃は同時期のSnapdragonやExynosと比べて性能が高いと言うこともなくそもそもSamsungと同じCPUコアを使っていたりと独自性は殆どありませんでした。
ところが2年後のApple A6からは2008年に買収したP.A. Semi買収の効果からかこの時から独自のカスタムCPUに切り替え競合のSoCの多コアかと違い圧倒的にIPCの高いCPUコアを搭載し、翌年にはApple A7でARM系CPU初の64bit化も果たしました。
また、現在でもシングルCPUの性能は競合他社より優れており、シングル性能だけならintelのウルトラブック向けのCPUを上回る性能となっています。
Apple Aシリーズ一覧
Apple AシリーズはApple A11から独自設計のGPUを採用しています。
特にタブレット向けに開発されたA12Xの性能が凄まじいの一言。
※Antutuスコアは同じSoCを搭載した端末でも最適化や冷却性能などにより違いが出るため目安となります。
SoC | CPU | クロック周波数 | GPU | メモリ | 製造プロセス | Antutu | 主なデバイス |
Apple A10 | Hurricane×2 Zephyr×2 |
2.33GHz | PowerVR Series 7XT GT7600 Plus | LPDDR4X | 16nm | 200,000 | iPhone7 |
Apple A10X | Hurricane×3 Zephyr×3 |
2.33GHz | PowerVR Series 7XT GT7600 PlusMP12 | LPDDR4X | 16nm | 270,000 | iPad Pro |
Apple A11 | Monsoon×2 Mistral×4 |
2.39GHz | 独自設計 | LPDDR4X | 10nm | 260,000 | iPhoneX |
Apple A12 | Vortex×2 Tempest×4 |
2.5GHz+ 1.5GHz |
独自設計 | LPDDR4X | 7nm | 360,000 | iPhoneXS |
Apple A12X | Vortex×4 Tempest×4 |
2.5GHz+ 1.5GHz |
独自設計 | LPDDR4X | 7nm | 550,000 | iPad Pro |
スマホ向けSoCまとめ
現在のスマホに搭載されるSoCは5つのメーカーで開発されており年々差は性能の差はなくなってきています。
最近はCPUやGPUだけでなくAIで性能を発揮するDSPや専用エンジンも注目されており、AnTuTuが「AI Review」というAIの処理性能を測るベンチマークアプリのベータ版を公開しています。
FaceIDなどのロック解除にもAIと専用エンジンが活用されており今後SoCでも新たな競争のトレンドになりそうです。
